胃がんとは
胃がんは、胃の表面粘膜が、何らかの原因でがん細胞になることで発生します。昔から日本人は胃がんの発症数が多く、現在でも年間12万人が胃がんと診断され、その胃がんの原因の90%以上がピロリ菌感染と言われています。がん細胞は大きくなり(浸潤)、遠くに広がること(転移)で進展していきます。大きく深くなるほどリンパ節や他の臓器に転移する可能性が高くなり、浸潤と転移の程度のよって胃がんの進行度(ステージ)は決定されます。ステージⅠで発見される早期胃がんは適切な治療で完治が望めます。
胃がんの原因
主な原因はピロリ菌感染による慢性的な胃炎です。また、発症に食生活や飲酒・喫煙も関与することがわかっています。ピロリ菌に感染すると胃粘膜が慢性的な炎症を起こし、萎縮性胃炎に進行します。萎縮性胃炎は胃がん発症のリスクが高い状態です。ピロリ菌の除菌治療により炎症の再発率を大幅に下げ、胃癌発症のリスクも抑えることができます。ただし、除菌に成功していてもピロリ菌感染経験がある場合には感染経験がない方に比べると胃癌発症リスクが高い状態ですので、リスクに合わせた頻度で受ける胃カメラ検査を受けることが大切です。
胃がんの症状
早期胃がんには自覚症状がほとんどなく、進行しても胃もたれ、胃やみぞおちの違和感・不快感、胸焼け、吐き気、胃痛など逆流性食道炎・慢性胃炎・胃潰瘍などと同じような症状となり、症状だけで胃がんかどうかを判断することはできません。また、胃がんの症状でも市販薬で一時的に症状を改善できることから、受診が遅れて進行してしまうケースもあり、さらに、転移した先で症状を起こしてはじめて発見されることもあります。
下記のような症状がありましたら、お早めにご相談ください。
- 胃やお腹の痛み
- 胃の膨満感
- 吐き気
- 胸やけ
- 貧血
- 体重減少 など
胃がんの検査
胃カメラ検査
食道・胃・十二指腸の粘膜表面をリアルタイムに観察することができ、拡大機能や特殊な波長の光を使った画像処理をあわせれば、微細な病変を見逃さず発見することが可能です。病変を発見した場合は、病変の採取を行うことにより、確定診断につながりますので、早期治療のために重要な検査となります。
詳しくは胃カメラのページをご覧ください。
他にも、血液検査で栄養状態や貧血などをチェックしたり、造影CT検査で他臓器転移の有無を精査します。
胃がんの治療
胃がんを発見した場合は、浸潤と転移の程度を調べ、進行度(ステージ)を診断します。進行度と患者様の状態などに合わせて、内視鏡による切除、外科手術、抗がん剤治療などを選択します。
胃カメラ検査で胃がんが発見された場合、連携している高度医療機関を速やかにご紹介し、患者様がスムーズに適切な治療を受けられるようサポートしております。また、術後のフォローを当院で受けることも可能です。お気軽にご相談ください。
早期発見のために
胃がんが進行している場合は外科手術も選択されますが、開腹手術は心身への負担も大きく、胃を切除すると手術の後も様々な影響が体に残ります。一方、胃がんの早期発見ができれば、ほとんどの場合は内視鏡による根治治療が可能であり、胃を切除することもないため、治療前と同じような生活を送ることができます。
早期胃癌には自覚症状がほとんどありませんので、早期発見では症状のない段階でリスクに合わせて定期的に受ける胃カメラ検査が必要です。当院では、胃癌発症リスクが上昇し始める40歳を超えた方に胃カメラ検査をお勧めしています。
胃がんの術後フォローアップ
胃がんは手術後1年以内の再発が最も多く、さらに再発症例の多くが術後2年以内に再発していると報告されています。その一方で、術後5年以降の再発はほぼないため、胃がんの術後フォローアップは5年間の定期検査が基本となっております。当院では、胃がん手術を行った医療機関と連携し、胃カメラ検査や腫瘍マーカー採血などの定期検査を行っております。また、当院では万が一に備え術後10年間検査を受けることを推奨しております。